2012/3/17 文字は人を語る


朝、アスファルトが濡れて黒い。
雨の多い3月だ。


   春と聞かねば 知らでありしを
   聞けばせかるる 胸の思いを
   いかにせよとの この頃か
   いかにせよとの この頃か

           (『早春賦』詞 吉丸一昌)


西宮中央図書館前のユキヤナギ


早春賦に歌われている春は立春(2月4日)のこと。
吉丸一昌は大分臼杵の下級武士の家に生まれ熊本の五高を経て東京帝大卒。
教育者であり文学者で作詞家であった。
その名は早春賦を書いたという業績のみで生涯忘れられない詩人として僕の記憶に刻まれている。
いかばかりに我は早春賦という歌を愛しているか。
ティン・ウィッスルで吹いてみせませう。


…食卓に斉吉商店『金のさんま』がのる。
洒落た器にのせられた気仙沼の海の恵み。
http://www.saikichi-pro.jp/goods.php?CID=21_&GOODS_ID=1225
先に口にしたヒロが「おいしい!」と言った。
「骨まで全部食べれるよ」
食す。
色ほど味が濃くはない。
ほどよい加減。
秋刀魚の臭みがない。
おいしい。
まだ1パックある。
楽しみだ。

 

先日届いた玉戸さんからの手紙。
この人はいまだワープロやパソコンを使わない。
演出、構成作家として仕事をしている時もすべて原稿用紙に万年筆で書いていた。
玉戸さんの手書き文字は読みやすく味わいがある。
心穏やか、文字が“上機嫌”という感じがする。
文字は人を語る。
こういう字が書けたらいいな、とあこがれる。

 

昨日、オンデマンドで見た『熱中人』でくせ字愛好家の女性が素敵だった。
http://www.youtube.com/watch?v=bcQ5SmXCFRA
http://www.nhk.or.jp/n-stadium/76ple/index.html
夏木マリのナレーションによると「字はその人の魂の形」なのだそう。
僕の手書き文字はどうだろう?
残念ながら平凡、幼稚、奈津子さんに見初められるチャーミングな「くせ字」には遠く及ばない。


上が玉戸さんの字、真ん中はヒロ(嫁)の字、一番下が僕。
嫁と僕は同じボールペンで書いた。
明らかに筆圧が違う。
彼女はちゃんと五十代女性という感じがする。
僕のはちょっと稚拙、大人の時ではない。
若作りしているオジさん、ちょっとフラストレーションが溜まっている、とでも分析されそう。
ちなみに玉戸さんは68歳、年齢にしては若々しい字だと思う。
万年筆が欲しくなった。
   

 

先日、オーブントースターが壊れた。
電源が入らなくなった。
独身時代から使っていた。
19年目にして息をひきとった。
長い間、お勤めごくろうさまでした。
今は無きサンヨー製。
このit's シリーズは1984年から独身男性向けに発売されている。
僕が買ったのは1993年。
Jリーグが始まった年、日本シリーズは野村スワローズvs森ライオンズ。
阪神淡路大震災の2年前だ。
この年の10月、僕は米西海岸を2週間ほど自転車で旅した。
サンフランシスコからサンディエゴ。
旅の途中、ミネーロとの電話で“ドーハの悲劇”を知った。
「もうラモスは来ないよ」とラッコにつぶやいた、と絵はがきに書いた。
懐かしい青春時代、とは言ってもすでに36だったけど。
楽しいことは先払いで済ませた。


トースターがないと困る。
ミドリ電化で新しいトースターを買った。
パナソニック製、3880円。
19年使えるかな?


イヌ小屋としてちょうどいいね、って遊んでた。
「火葬か!」と、てん激怒。


夜はオンデマンドでまた『熱中人』を観る。
こんどは「腕相撲四十八手」、腕相撲に人生を賭ける55歳(タメです)。
無敵の左腕と呼ばれる69歳に挑む主人公。
この戦いにマジで感動する。