2010/3/10 春は名のみの雪の白さや

朝、松本城を散歩する。
この雪ではジョギングというわけにはいかない。
城のお堀周辺では市民が雪かきに汗を流す。
非日常の事態にどこか嬉しそう。
ここは雪国ではないのだ。


昭和55年の冬を思う。
僕は金沢に暮らし、1年が経とうとしていた。
1月のある夜だった。
雪が絶え間なく降り続いた。
(市内でも一晩で80センチの積雪があったと翌朝に知る)
浮き立つ気持ちを抑えきれず友人と二人で夜の兼六園に忍び込んだ。
もちろん誰一人いない。
真っ白な雪原が広がっていた。
初めて知った豪雪、静かな祝祭、聖なる夜。
以来、雪は、僕の心のやわらかい場所を時々きゅんと締めつける。
(「夜空ノムコウ」のフレーズ、パクらせていただきました)


  


たっぷり雪をのせた国宝松本城。
黒い城に白い雪のコントラストが沈んだ空に映える。
この冬はスキーやスノウハイキングにも行かず雪景色を見られなかった。
でも、思わぬ形で雪景色を堪能出来ました。
ささいなことだけど人生ってそんなものですね。

  

 

散歩から戻り、ホテルの大浴場『深志の湯』につかる。
喫茶でモーニング、目玉焼きに醤油がついてくる。
僕はウスターソースかケチャップ派なのだけど…。
店の客とウエイトレスの会話で今日が公立高校の入試だと知る。
JRが一部運休、困ってる人もいるだろうな。

 

…「スーパーあずさ」で東京へ移動。
松本『おきなや』のポークステーキでランチにも惹かれたが諦める。
中央線が雪で乱れているかも知れない。
早めに移動しておいた方が賢明と判断。
相澤酒店で仕入れた『美寿々 純米吟醸生無濾過』の4合瓶を買う。
昨日、「よよぎ」で飲んだ酒だ。
中央線沿線はどこまで行っても雪野原。
日が差し始めて車窓が眩しい。


週刊ダイヤモンド『FREEの正体』を読む。
いま話題になっているビジネスの概念“FREE”とはこういうことか。
用語解説に英語で言う“Free Lunch”の解説があった。


  【フリーランチ】 
  ゴールドラッシュ当時の米国の酒場で流行した、飲み物を1杯注文すれば
  無料(フリー)で食事(ランチ)ができるというサービス。
  ランチは飲み物よりはるかに高い。
  タダより高いものはないという意味で使われる。


ああ、こういう意味があったのだ。
ヴァン・モリスンがインタビューの中で、Not Free Lunch. と言っていた。
音楽の話なのにランチという単語が登場した。
「そんなうまい話はない」て感じのコメントだったのだ。

週刊 ダイヤモンド 2010年 3/13号 [雑誌]

週刊 ダイヤモンド 2010年 3/13号 [雑誌]