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2012/4/15 なんてん

人間、人から若く見られると嬉しい、と思う時期は案外短いような気がする。
女性の場合は違うのかもしれないし、個人差はあるとは思うが。
10歳若くというのは無理があるとしても5歳若く見られたら嬉しい、
とすれば自分の場合はどうだったろうと振り返ってみる。


20歳や25歳の頃にはそんなことは望みもしなかった。
20歳なのに15歳に見えると言われたら嬉しくない。
25歳で20歳に見える? 
これもビミョーで、どーでもいいように思う。
やっぱり三十の声を聞くようになった頃からだろうか。
嬉しい度合いは四十代がピークかな。


今年55歳になった。
55には見えない50くらいだと思った、と言われてもそんなに嬉しくない。
もうそういうのはどーでもいいよ、と思う。
じゃあ、四十代に見えると言われたらどうか?
うーむ、これもビミョー。
というのも自分の中の脳内年齢は40くらいで止まっている。
自由業で服装も30代あたりから変わらず小汚いままなので

真っ当な壮年男性へ成育が出来ていない
四十代の人は同世代だと思っている。
(子供がいないせいかもしれない)
だから、四十代に見えると言われて当然、と厚かましく思っているのかもしれない。


じゃあ、三十代に見える、と言われたら?
アンチエイジングの健康食品のCMに出られるなあ。
嬉しいけど本当は55なのでそんな人間は気持ち悪い。
いい歳の重ね方ではない。
逆らっては行けないと思う。
事実、心も身体も故障だらけだし。
かといって、「60くらいに見えますよ」と言われたら落ち込む。
困ったものだ。


…桂こごろう改め桂南天襲名披露公演 夜の部@サンケイホールブリーゼ
本意ならずも硬派報道路線から演芸&仏教担当になったA部老師にチケットをもらった。
落語家の襲名披露も新しくなったサンケイホールも初めてなので一人で出かけていった。
昔のサンケイホールには試写会やジャズのフィルムコンサートへよく行った。
70年代から80年代にはフィルムコンサートなんて催しがあったんですね。
ビデオもレーザーディスクも、当然ながらDVDもまだ普及してなかった。


桂こごろう改め南天さんは先月の太融寺の落語会で初めて見た落語家さん。
なかなか達者で面白かったと記憶しているが演目は忘れてしまった。
どうせ忘れてしまうので憶えようともしない。
おっと、日記を検索したら判明、「書割盗人」でした。
堀井憲一郎が落語を聞きながら逐一メモをとるとラジオで話していた。
その話をしたら友人がそれはいかがなものかと言ったが実は僕は堀井氏の気持ちがわかる。
(僕はしないけど)
五十代になって記憶が頭の中に長くは留まっていないのだ。
四十代にはなかった自覚症状だ。
前にも書いた脳内のワーキングスペースが狭いのだ。
記憶に残らない感想はいいかげんなものだから忘れてしまえばいい、という男らしい意見もある。
僕だって、そう思え、と自分に言い聞かせたが未練なのだ。
ふと頭をよぎっただけの感想だって捨てたものではない。
一旦捨ててしまえば永遠に消えてしまう。
忘れるがままに何も残らないで日々が過ぎてしまう。
あまりに情けない。
情けないが事実なのだ。
記録しておきたいのは本能的な欲求だ。
57歳の竹内まりやも歌っている。


  満開の桜や 色づく山の紅葉を
  この先いったい何度 見ることになるだろう

 
  信じられない速さで 時は過ぎ去ると 
  知ってしまったら  どんな小さなことも 
  覚えていたいと 心が言ったよ
                     (竹内まりや『人生の扉』)


なかなか桂南天さんの襲名披露公演の感想へたどりつかない。


落語が6席と襲名口上、3時間と長かったけど口上は面白かったです。
落語の襲名披露っていうのはこんなふうにするんだと興味津々。
南天さん本人はずっと手をついた顔を伏せたままなんです。
司会は吉弥、口上は師匠の南光から、続いて同門の米團治、ざこば、
最後は笑福亭一門から鶴瓶が順に口上を述べて笑わせる。
そして、途中からサプライズ!
桂米朝さんが車椅子で登場、会場がどよめきました。
人間国宝は水戸黄門さまのように鶴瓶の問いにゆるーい感じで答える。
87歳だもんなあ。
でも、同い年の人間国宝 竹本住大夫さんはバリバリの現役です。
今も文楽劇場で毎日熱演しておられる。
まだ4月公演に行ってない!
『桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)』の「帯屋の段」を語っておられる。
落語の『胴乱の幸助』の元ネタとなっている浄瑠璃。
必見なり。


南天(こごろう)さんは『野崎詣り』をやった。
三味線と小唄つきの春らしい華やかなネタだ。
そういえば去年セルジオと野崎詣りに行ったなあ。
参道の露店の数に驚いた。


一番笑ったのは鶴瓶の噺だった。
古典ではないが旧知のネタだった。
昔、「パペポTV」で聞いた記憶がある。
『青木先生』という噺。
私小説ならぬ私落語だ。
知ってるのに泣くほど笑う。
「274ページをまくりなさい」
鶴瓶にこの手の話をさせたら絶品です。
http://www.youtube.com/watch?v=ioDcgt25EHw


…高田郁『夏天の虹』を読了。
澪つくし料理帖シリーズも七作目。

夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))

夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))


なんだか『風と共に去りぬ』を思わせる波瀾万丈の展開になってきた。
澪の相、「雲外蒼天」にもほどがあると思うほど。
この物語をどう収めるのか、高田郁さんの筆の見せどころ。