2015/2/8 憎しみに為替相場はない

早起きチャンドラー式継続中、3日連続で6時起床。
就寝時間が1時前と遅いので睡眠が5時間と僕にしては足りてない。
睡眠が少ないと集中力を欠く。
数日前の予報では雨の日曜日になるはずだったのに晴れている。


…きのう走りながら「久米宏のラジオなんですけど」のPodcastを聞いた。
戦死者数で露呈する南北問題についての話だった。
ブッシュがしかけた先のイラクでも戦争でアメリカ側(多国籍軍)の戦死者数、負傷者数は一桁の単位まで発表される。
しかし、イラク側の民間人を含めた戦死者数は相当数になるはずなのに詳細に発表されることはない。
人質ビジネスにおける身代金でも同じことが言える。
国籍によって命の値段は違うのだ。
日本人二人に20億ドルを要求された。
これがイラク人やパレスチナ人の人質だったらどうだったか。
去年暮れに読んだ「新・戦争論 」で佐藤優が同じようなことを言っていた。

 

 佐藤「ウクライナ問題がなぜ解決しないかというと、

    誤解を恐れずに言えば、まだ殺し足りないからです。
    パレスチナ問題が解決しない理由も、流血の不足です。
    これ以上犠牲が出るのは嫌だ とお互いが思うところまでいかないと、

    和解は成立しないのです。」
 池上「ソマリアからアメリカが撤退するには、

    十数人の犠牲で足りたことになりますね。」
 佐藤「そうです。この争いは無益だ と思うためには、

   一定の数の人間が死なないとダメだのですが、
   それは、ある国では何十人、ある国では何万になる。

   時期によっても変わります。」
 池上「1990年代のルワンダでは100万人と言われる犠牲者が出ましたね。

   ヨーロッパではもっと少なくなるし、アメリカならさらにずっと少ない、
   中国も、中越戦争(1975年)では数万人という犠牲者が出ています。
   にもかかわらず、当時の体制は揺るぎませんでしたが、

   今だとあれだけの犠牲者は出せないでしょう。体制維持が難しくなる。」

 

命の値段はあくまで為替相場みたいなものだと思う。

日本人が開発途上国を旅すると自慢げに、100円でご馳走が食べられる、3000円あれば一週間暮らせる、などと言うのと同じだ。
でも、誤解してはいけない。
憎しみに為替相場はない。
憎悪というカレンシーは世界共通なのだ。
いまの世界は積もり積もってインフレ状態の憎悪がグローバルマーケットに上場した結果なのかもしれない。


…昼から風が強くなる。
えびすカットで散髪する。
去年12月の末以来、一ヶ月半ぶり。
いつもより短めにしてもらう。
小腹が空いたのでスシローで3皿5貫だけ食べる。
いったん帰宅してグンゼで筋トレ。
牛肉きのこ鍋で日本酒を吞みながらヒロが録画してくれたwowowの「銘酒誕生物語」を観る。
和歌山海南の「紀土」と長野下諏訪の「御胡鶴」
ここ十年、日本酒の作り手が若返っているのは「夏子の酒」の影響が少なからずあるのではないか、とヒロが言う。
最近では「蔵人(クロード)」もあったしね。
   


酒コミックつながりで「ワカコ酒」です。
BSジャパンで実写ドラマ化されて、

主演が「祖谷物語」の武田梨奈だったのでちょっと驚く。
映画では高校生役だった彼女がお酒大好きの26歳のOLを演じている。


    


オンデマンドで初回を観たけどいかにも日本酒が好きそうな感じがリアルです。
  


独酌女子には惹かれますが…美人限定。
  


米澤穂信の「満願」を読了。
オカルトではないホラー味のサスペンス短編集。
最後の一撃(フィニッシングストローク)にこだわった物語群。
ラスト5ページで読者ははっとして息を飲む。
人はどうして後味の悪い小説に魅力を感じるのだろう?
6つある物語では「夜警」と「関守」がいい。
以前、STORY SELLER というアンソロジーで読んだ一編が、

内容を忘れてしまったにもかかわらず、不思議な魅力にあふれ印象に残っていた。
ネットで調べたら「玉野五十鈴の誉れ」という題名だった。
「儚い羊たちの祝宴」という短編集に収められて文庫本になっている。
迷わずポチる。