2012/5/29 モテキ55

今日のお題は『モテキ55(ゴーゴー)』である。
断っておくがタイトルは齢五十五にして人生に3度来るというモテキが来てイケイケでっせという話ではない。
齢五十五にしてDVDで映画『モテキ』を見て思うことを書こうと思っただけだ。
折しも今日の昼前、フロリダの背番号55も昇格を決めたニュースが飛び込んできたし。
(『ヒデキ55』にかけて。え、レイズでの背番号は35なんですか? あ、そう) 

     


去年の暮れあたりに眼鏡堂さんから再三レコメンドされていたのだが見送ってしまった。
DVDが出るのを待ってTSUTAYA ディスカスで予約、ようやく届いた。


どれどれ。(本編再生をクリック)
あ、森山未來だ、うわ、なんだこの感じ、ワハハ(笑)、なにこれ? いいね、ガハハ(爆笑)、ヤバイな。
モノローグ最高、ぐふふ(ふくみ笑い)、ああ、こーいうのあるある、ふーん、こうくるかあ、ア、アホや。
テンションあがってきた、落ち着け落ち着け、オレ55だぞ、Take it easy, Oldman!
フジモトくん有頂天! Perfume(パフューム)と踊り出したぞ。
うわ、なんか、個人的にフラッシュバックしてきた。
いくつかの恥ずかしい名場面が、実際にあったのかなかったのかよくわからない思い出がフラッシュバック、
すでに自分の都合のいいように美化してアーカイブに保存しておいためくるめく体験がフラッシュバック、
そして、お墓まで持っていく決意で封印したおぞましくこっ恥ずかしい出来事さえもが解凍されてフラッシュバックする。
若いってめんどくさいなあ。
疑心暗鬼、錯覚、有頂天、疑心暗鬼、錯覚、有頂天、疑心暗鬼、錯覚、有頂天、心神衰弱。
こーいう面倒なことがなくなって心底しあわせだと思う。
歳を重ねて嬉しいことのひとつ。
映画?
最高に面白かった。
面白かったけど、出来たら見なかったことにしてください。
僕が見たことは誰にも言わないでください。
今年で55だし。
自意識過剰と蔑むなかれ。
手遅れです。

 

眼鏡堂夫妻がハマってたようにこの映画をつくったスタッフは夫妻と同じ40代半ば。
40代半ばというと僕らより上の世代はかつて彼らを“新人類”と呼んでいた。
映画では新しい音楽に混じって80年代後半のヒット曲が散りばめられている。
大江千里、竹内まりや、岡村靖幸、スチャダラパー、このあたりが新人類世代のツボなのだ。
なつかしのJポップ、いやJポップとニューミュージックの間(はざま)。
でも、僕らにとってそのあたりの音楽はちょっと前のうすら新しい音楽なのだ。
僕が鋭く反応したのは橘いずみの『失格』と長澤まさみが男と暮らしていたリビングにあったLPジャケット。
妻子持ちの男はサーファー風のイベンター(こいつが若い頃の僕の周りに数多くいたタイプ)。
で、LPはジャクソン・ブラウンだった。
僕らが高校、大学のころの新譜のはず。
もちろん2011年に30代前半の男にとって同時代の音楽ではないが確かに聞いてそうな気もする。


僕らの時代と映画『モテキ』(つまり今)の恋愛コミュニケーションツールのギャップは驚くべきものがある。
モテキ:携帯電話、携帯メール、Twitter、FaceBook、You-Tube、ブログ
僕ら:公衆電話
いったん家から出てしまうと僕らには緑やグレーや黄色の公衆電話しか手段がなかった。
一人暮らしの若者は加入電話さえも持っていなかった。
アパートや寮のピンクの電話か大家の呼び出しだ。
つまり男女お互いが外出してしまえば完全に音信不通になる。
僕に限定してしまえば恋愛適齢期と言われる10代後半から30代前半まで携帯電話を持っていなかった。
今となっては、どうしてたんだろ?と思うが当たり前だったから不自由もなかった。
逆にモテキの時代に同情さえする。
絶対にめんどくさいよ。


映画、前半のリズムと映像の構成は楽しくて素晴らしい。
一人で見てるのにずっと笑っていた。
後半は主人公の心理が恥ずかしいほど理解できる分、純粋に楽しめなかった。
森山未來は『その街のこども』で初めて見た。
今回の『モテキ』を見て、あれも演技だったのだと改めて感動する。
映画館で見なくて正解だったと思う。
誰かといっしょに見たくないし、客層を想像すると辛い。
ま、自意識過剰なんだろうけど。


見る前にイメージしてたのは4人の彼女に次々にモテていくというオムニバス構成。
でも、違った。
主人公は長澤まさみを一途に想っていて、同時に麻生久美子と関わる。
あとの二人、真木ようこと仲里依紗はエピソード扱いだった。
個人的には仲里依紗をもう少し見たかったな。
でも、主人公の藤本幸世クンは31歳か。
今はそんな感じなのかなあ。
僕らの感覚でも幼いなあと思ってしまう。


…また寒気が流れ込み日本列島は不安定な雲行き。
昼頃、ここ西宮でもにわかに暗くなり雷雨となる。
5月末って感じじゃないな。
明らかに僕らが生きてきた過去半世紀とは違う。
長いスケールで見たら驚くべきことではないのかも知れないが。
       


夜はヒロと待ち合わせて阪神西宮のうどん『はがくれ』へ行く。
最近、ここで食べるうどんに感動がない。
立ち食いの方がマシと思えるほど。
帰宅後、ポートウェーブ西宮へ行く。
筋トレとプール、バランスボールを試してみる。
体幹に効くトレーニングを調べてみよう。
夜はオンデマンドで『未解決事件ファイル』の前半を見る。
オウム事件の時代、もう17年前になるのだ。