2012/5/26 そうだ、浪曲行こう!

ほぼ2ヶ月のブランク、久々に浪曲を聴いてきました。
浪曲錬声会 第2部 @国立文楽劇場小ホール
4人とも素晴らしかった。

  


思えば僕が浪曲ファンになったのは去年の錬声会を見たのがきっかけだった。
http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida/20110529/1306648142


   真山隼人/オペレーター 真山幸美
   『嗚呼吉田松陰』


   春野美恵子/曲師 虹 友美
   『両国夫婦花火』
 

   幸いってん/曲師 沢村さくら
  「寛永三馬術」より『大井川乗り切り』
 

   三原佐知子/曲師 岡本貞子
  『亀甲組』


『嗚呼吉田松陰』
17歳の高校生浪曲師 真山隼人くんを聴くのは3度目。
前の2回はいずれも『俵星玄蕃 たわらぼしげんば』だった。
幕末もの。『嗚呼吉田松陰』、これを聴きたかった。
♪文明開化 ニッポンの 夜明けを ひたすら 信じつつ
 殉を覚悟の 長州桜 ときは移れど その名は いまも
 しょういん よしだ とらあじろう!
演歌浪曲の真山流を堪能する。
吉田松陰の屍を門弟が拾うシーンで真山隼人はマジ泣きする。
目元を真っ赤にして「松陰先生!」と嗚咽する。
吉田松陰を師と仰ぐビビる大木に是非とも聴かせたい。
若い! 
気持ちの入った語りでした。
♪ しょういん よーしーだぁ とらーじろう
もちろん技量はまだ未熟なとこもあるけど、その情熱に拍手を送る。


参考までに初代真山一郎の録音です。
http://www.youtube.com/watch?v=OGMQUgzlkQ0


『両国夫婦花火』
春野美恵子さんを聴くのも3回目か。
前の2回は忠臣蔵の外伝ものだった。
これは江戸人情もの。
江戸時代における両国花火とはいかなるものだったのかを知る。
両国橋をはさんで川上に「かぎや」、川下に「たまや」という花火問屋が覇を競った。
この外題は「かぎや」の跡取り息子の話。
もちろん「たまや」の主人も粋な計らいをする。
浪曲は勉強になるなあ。
娯楽の少ない江戸時代、花火というビジュアルショーの人気は凄まじかっただろう。
春野美恵子さんは50くらいだろうか。
もともとは民謡を趣味で歌っていた人らしい。
だから節には艶がある。
2月のチャリティーステージでは江州音頭を見事に歌っていた。


「寛永三馬術」より『大井川乗り切り』
贔屓の浪曲師 幸いってんさん。
聴くのは5度目だろうか。
今回は2部構成で一日に二度の公演、体力は順調に回復しているのだろう。
いってんさんは白血病で2度の移植手術を受けているのだ。
ユーモラスな演目「寛永三馬術」、『大井川乗り切り』を聴くのは2度目だ。
馬で大井川を渡りスペクタクルな描写は何度聴いても胸躍る。
三味線曲師は沢村さくらさん。
いってんさんにはもれなくさくらさんがついてくるのも楽しみだ。

 

『亀甲組』
ど迫力の三原佐知子師匠です。
「極道の女たち」の岩下志摩なんてふるえあがるくらいドスの効いた啖呵。
とても八十前とは思えません。
普段はリクエストもあり得意の“母もの”を中心に聴かせる師匠だが任侠やくざもの『亀甲組』に挑む。
この歳になっても毎日が勉強ですと
国鉄関西本線の工事に携わった伊賀上野の亀甲組の話。
かの真山一郎も『亀甲組 涙の関西鉄道』という外題で演歌浪曲にしているそうです。
三原佐知子師匠は最近は浪曲師だった叔父さんの外題に挑んでいるそうです。
女流浪曲といえば真っ先に母ものがでしょうが、この師匠には任侠ものが合っているように思います。


客の入りは6割から7割に満たないくらいでしょうか。
2000円(会員1600円)と決して高くないのになあ。
ざっと見渡しても僕が最年少だったような。
僕のようなビギナーでさえこの素晴らしい演芸をもっと聴いて欲しいと思う。


日本橋から道頓堀へ。
松竹座では団菊祭、明日が千秋楽。
幕見へ行こうと思ったがさすがに完売でした。
   

 

ばあばあの見舞いに行く途中、江戸堀の大阪教会に寄る。
これもウイリアム・メレル・ヴォーリズの作品。
焼きすぎ煉瓦を使ったロマネスク様式で、1922年(大正11年)に建てられた。
90年の歴史が実に渋い色合いを出す。


日本向けに構造はアレンジしているが東洋にアメリカ郊外の原風景を作り出す。
それが僕が勝手に思うヴォーリズ建築だ。


大阪教会のすぐ近くにある愛想のないビル。
悪名高き(?)全国高等学校野球連盟の本部です。


川の向こうにばあばあが入院している住友病院が見える。


ヒロと合流して『土山人』で蕎麦を食べて帰る。
ちょっとしたことに怒りっぽくなっていく。
ヘタになぐさめたりすると裏目に出るのでだまっている。
ばあばあが入院してから一度もプールへ行ってない。
気晴らしにどこかへ出かけようと誘ってもそんな気になれないという。
時間がないとか身体がキツイのではない。
先が見えないので精神的に行き詰まっているのだ。
今のところ僕が手伝えることはそれほどない。


ここ数日は快晴の予報なのに午後からは雲が厚くなる。
そろそろ梅雨入りなのかも?
去年は例年より早い今日26日が近畿地方の梅雨入りだった。
週刊天気には晴れマークが並んでたのに突然消えた。
明日そうなっても落ち込まないように覚悟しておこう。