2009/5/12 サイクリング・ブルースに乾杯!

晴れ、まだしかるべき時刻に起きられない。
歳をとれば早起きになると聞いていたのに歳とともに寝坊になる。
高校生、大学生の頃、僕は早起きだった。
朝刊配達のバイトの毎日、朝5時には起きていた。
早朝番組をやっていた30歳の頃(高松時代)には5時に仕事を始めていた。
要は必要となれば起きるし、仕事がなければ寝ているに過ぎない。

でも、朝の時間は金だ。
目覚まし時計を枕元に置くからすぐに止めてしまう。
寝床から遠くに置こう。


…土曜の朝はバラカン先生のラジオ『Weekend Sunshine』だ。
今日はアフリカンポップスの本を出した荻原和也という人がゲスト。
この人は会社員で、アフリカ音楽研究はあくまで趣味であるらしい。
ところが、その趣味は半端じゃなく、出版する予定は全くないまま凄い本を書いてしまった。

バラカン氏曰く、「アフリカ音楽をここまで深く広くとらえた本は世界にこれだけでしょう」
マスコミに取り上げられないけど凄い日本人はいっぱいいる。
一見何でもない普通の人が実は凄いんだ、と思う。
僕も旅先ですげえ人に出会って驚いたものな。

ポップアフリカ700 アフリカンミュージックディスクガイド

ポップアフリカ700 アフリカンミュージックディスクガイド


もう一人、凄い人。
これはPodcastで大森望氏が紹介してた。
椎名誠も週刊文春で、今週一番の収穫だ、と書いてた本。
武石憲貴という人の『世界怪魚釣行記』 
この人のプロフィールを抜粋する。


 1973年、秋田県生まれ。大学卒業後、会社勤めをするが2年半で退社。
 1999年にまだ見ぬ怪魚を探索するためにインドに旅立つ。
 後、アジア・南米・アフリカ・オセアニアを総日数1386日・26カ国にわたり、
 巨大怪魚を追い求め放浪する。
 現在は怪魚探索の傍ら、モンゴルにおいて釣りガイドや新聞に釣行記を連載する。


今も秋田に住んでいるらしい。
海外の釣りから帰ってマラリアを発症、秋田の病院にマラリアで入院した空前絶後の人らしい。
何が凄いってよく分からない人はこの人のHPの恐ろしい写真の数々を見て欲しい。
「釣り旅BLOG」 http://wind.ap.teacup.com/fishing/
この人は何して食ってるんだ?
ちまちまと日常生活で気づいたことをブログに書く行為のなんとつまらないことか。
そう思わせられ打ちのめされ、そして強烈に面白そうだと嫉妬して、あこがれて、
でも、こんなこと誰にも出来ないじゃんと思い直し、再び日常ちまちま生活に戻る。

世界怪魚釣行記

世界怪魚釣行記


…また清志郎の話。
今日はファンも参列しての葬儀がある。
産経新聞(WEB)に音楽評論家の田家秀樹氏が追悼文を載せている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090509-00000130-san-ent
清志郎がオーティス・レディングに心酔していたという話。
雑誌に載っていたオーティスの写真を見て真似して左手にマイクを持つようになった。
でも、あとから実はその写真はミスで反転したものだと知った。
「オーティスの写真なんて当時、どこにも載っていたかったんだよ」と清志郎は苦笑いした。
このエピソードは彼がどんな時代に音楽を始めたかを物語っていないだろうか、
と田家氏は書いている。

そうなのか、と思った。
オーティスが好きだったのか。
ファンの人は知ってたのだろうが僕は初めて知った。
『トランジスタラジオ』の最後に、You've Gotta Gotta Gotta Gotta…とシャウトする。
というか、ユー ガタガタガタガタ、と。
どっかで聞いたなあ。
オーティスだったんだね。
オーティス・レディングの『Satisfaction』のリフだったんだ。
それに『高齢化社会』の歌詞に、


 俺のフンドシを もう一度絞めてくれ
 OH 絞めてくれたら ガタガタ言わねえ
 ガタ ガタ ガタ ガタ…言わねえったら、もう言わねぇ


というのがある。
ガタガタガタガタ、がやりたかったから、こんな歌詞を書いたのか。
わが愛しのオーティス、か。
若き日の清志郎のあこがれ、胸がちょっと熱くなる。


…ロードレーサーのリストアが済んだと自転車屋から連絡あり。
午後から歩いてサイクルベースアサヒに引き取りに行く。
ヒロはバレーの練習、気温が25度近くある夏のような午後。

思えば今月3日、清志郎の訃報を知って自転車を直そうと思い至ったのだ。
僕の脳内で彼は自転車の人という比率が高かった、おそらく半分以上だった。
♪子ネコがミヤータ コルナーゴ 僕の彼女は ビアンキで (自転車ショー歌)
清志郎がロードレーサーに凝り始めたのは50歳近かったのではなかったか。
今回、僕が修理に出したのは中古で買ったGIANTのロードレーサーだ。
そう、♪ のび太のともだち ジャイアントー(自転車ショー歌) である。
ベランダに8年以上も放置されていたが、清志郎が甦らせたのだ。
(…ということにしておきたい)
8年の放置プレイだから当然、タイヤとチューブを前後輪ともに履き替え。
変速機のワイヤも錆びついてたので交換。
ハンドルのグリップのゴムが溶けていたので交換。
なんやかんやで12000円もかかってしまう。
以前なら部品だけ買って自分で交換してたのにね。
面倒なんだ。
金で解決してしまった。

 

久々にロードレーサーのサドルに尻をのせる。
タイヤはチューブラーではないが700cという細いもの。
クロモリ(クロームモリブデン鋼)の車体も軽い。
一見、街乗りのクロスバイクに見える。
もともとはドロップハンドルだったのを買ってからバーハンドルに交換した。
でもフレームとタイヤはロードレーサーなのだ。(古いので12段変速だけど)
マウンテンバイクやママチャリとは比べようもないほど速い。
ちょっと力を入れて漕ぐとすぐに時速30キロくらいは出る。
小腹が空いたので芦屋のカフェ『poco poco cafe』に寄る。
珈琲と自家製パン3個の昼食。
店の前の公園でペダルのトゥークリップをはずす。
気軽に乗りたい気分です。

土曜日、家族連れが遊ぶ芦屋浜の岸壁を走る。
初夏の風が気持ちいい。
iPodで清志郎を聞く。


 風の中に高鳴る胸に 大いなるサイクリング・ブルース


1時間以上走っていると尻が痛くなる。
革製のサドルに替えないと長距離は走れない。
芦屋浜から西宮浜へ渡る。
西宮浜から甲子園浜に渡る。
橋を渡るごとにヒルクライム、ダウンヒルを繰り返す。
かなりの運動量。
さらに甲子園浜から鳴尾浜。
鳴尾浜から武庫川沿いの自転車道を走る。


 急な下り坂 横風にあおられ
 ぬかるみに 事なきを得て
 風の中に祈りを捧ぐ 大いなるサイクリング・ブルース
 風の中に高鳴る胸に 大いなるサイクリング・ブルース
                 (忌野清志郎『サイクリング・ブルース』)

 

尻の痛みをこらえて3時間ほど走っただろうか。
西宮ガーデンズの有料駐輪場に停める。
北口にあるアイリッシュパブ『カプリシカ』で空腹を満たす。
キルケニー1パイントとビーフカツサンド。
「のび太の友だち ジャイアント」の復活と「サイクリング・ブルース」に乾杯!