2012/4/18 花筏、夕べに京都呑み

今朝も30分ジョッグ。
夙川公園の桜は花を散らし川面を埋める。
季節の主役を演じ終えた花はゆっくり海へと去っていく。
はないかだの季節。
上方落語に「花筏」という噺がある。
提灯屋の徳さんが太ってるからと大関花筏の偽物になるという話。
枝雀の得意ネタだった。

 

去年の今日、18日は吉野山へ行った。
下千本は散り始め、中千本は満開、上千本が八分咲きという具合だった。
K輪住職のことし18日付けの日記によると中千本が散りかけていたとのこと。
遅い遅いと言われた季節の流れもスピードを上げている。
石垣島ではもう梅雨入りかとの声も聞く。


去年18日の吉野山の自作ムービーです。
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…眼鏡堂上洛。
春の宵、京都へ&#21534;みに行く。
阪急電車で夙川〜十三〜河原町、木屋町あたりは名残の桜。
思えば優雅な極楽とんぼ。。


喫茶『ソワレ』の2階席から桜を見たいと2月に日記に書いた。
時すでに遅く、店の前のソメイヨシノはすでに葉桜。
眼鏡堂氏によると東京の桜はソメイヨシノが大半なのだとか。
一気に咲き一気に散る。
関西、特に京都は桜の種類が多く、八重桜や有名な御室桜はまだ楽しめる。


池波正太郎『散歩のとき何か食べたくなって』を電車で読みながら来た。
木屋町、寺町、祇園南座界わいと京都のことを3編書いている。
木屋町 松鮨の編で三条大橋西詰めの瑞泉寺のことにふれる。
ここは豊臣秀次の弔い寺であるそうな。
秀吉の甥っ子で一度は関白の位につけられながら淀君に男の子(秀頼)が出来ると、
今もって不可解な謀反の罪で秀吉に高野山で切腹を命じられた悲運の将だ。
その際、秀吉は秀次の妻子、側妾、侍女までも鴨川の河原で処刑したと言う。
三条河原は平安時代から処刑場であった。
平将門、石川五右衛門、石田三成、千利休、近藤勇らが晒し首にされた場所。
応仁の乱では死体置き場であったらしい。
平成年間、その場所はカップルが初夏の川風を浴びて等間隔に坐っている。


…川端二条の老舗酒場『赤垣屋』でがっぷり四つで&#21534;む。
これが春宵の京都&#21534;みの命題である。
今まで独酌で二度&#21534;んだがビール一本、つまみ一品で半時間といずれもショートステイ。
6時半、待ちは覚悟していたが幸いにもカウンターの隅が2席空いていた。
10分ほどで讃岐詣での帰りの眼鏡堂の旦那が合流。
こんぴら詣での帰りに都へ寄って遊ぶなんて森の石松みたいな道行きだ。
石松は大阪から三十石船で伏見に入ったが眼鏡の石松は新幹線で八条口。


カウンターで客を観賞しながら&#21534;むのも名酒場の趣向。
隣は60代とおぼしき女子同級生トリオ、その隣に成金風情の中年カップル、
その隣に20代のカップル(この店を選ぶ趣味はいいが10年早いと目で警告)、
その奥に小林稔侍が座り、穏やかに&#21534;む志村喬が端っこに陣取る。
白髪の志村喬は太田和彦の本の登場人物だろうか。


 名優志村喬のような七十代とおぼしき白髪紳士が座った。
 何も言わないのに、キリンスタウト黒ビールとコップ、爪楊枝が置かれ、
 肴が見つくろいで少しずつ出てくる。
 これがこの人の決まりらしい。      (太田和彦『ひとり飲む、京都』より)


食べたもの。
鰻の白焼き、かつおと鯛の造り、若竹煮、鰤の塩焼き、鴨ロース。
飲んだもの。
瓶ビール、名誉冠の熱燗3本。
カウンターには見事な接客ぶりの若き四代目当主。
お勘定の時、眼鏡堂氏に「バスケット見てますよ」と声をかける。
眼鏡堂氏もそれに応え赤垣屋贔屓宣言です。
8時前、日もとっぷりと暮れ、鴨川の風がほろ酔いの肌に心地よい。


…終電まで3時間ある。
御池大橋を渡り三条上ルあたり。
BAR『文久』へ行く。


今日は店の引き戸を開けっ放しにしてある。
中庭なので街の喧噪はない。
春の夜気を肌で感じながらちょっと強めの酒を飲む。
 


ひとつ問題があった。
同席した客が実にうっとおしい男だった。
小さな隠れ家バーではこういう運不運があるのも覚悟の上だが。
60年配でトシ喰ってるわりに物事を知らない。
なんでも質問してくるのが先ずウザい。
話し方は丁寧なのだが初対面で打ち解けてもいないのに土足侵入型話法。
二人で飲みに来てんだから無闇に話しかけるな。
僕らが会話にはさむひとつひとつに全て絡んでくる。
眼鏡堂氏が東京から来たと知ると、東京のいい酒場を紹介して下さいよ、と言う。
いい酒場は知ってるけどあなたには紹介したくない、と眼鏡堂氏が心でつぶやいている。
僕にも、大阪でいい店知らないか、紹介してくれと言う。
いつも天満界わいの立ち飲み屋で飲んでいるから知らないと答える。
すると男は、いつも立ち飲み屋で飲んでるのになんで今日は座って飲んでいるのか、と言う。
中庭へ引きずり出してやろうかと思ったが我慢する。
おそらくコイツは何度も同じ目に遭ってるなとその瞬間思った。
ロックで飲んだダークラムは美味しかったが同席の客がアウトだった。
2杯ずつ飲んで店を出る。


もう一軒。
女性バーテンダー尺金さんのBAR『トレフドール』へ行く。
バスペールエール1/2とバーボンソーダ、眼鏡堂氏はロングカクテル2種。
バーにしては珍しく店の奥に掘りごたつの小部屋がある。


バーを探してるときに路地にぽつんと雰囲気のある銭湯がある。
「明治湯」とある。
京都泊だったら入りたいところ。


眼鏡堂氏と別れたのが10時過ぎ。
終電まで小一時間あるので『彌光庵』へ寄っていこう。
藤井大丸裏を2ブロック目、狭い通路の奥にある。
先客は40代のカップルだけ。
黒糖焼酎のロックを一杯だけ飲む。
知花さんは4月始めにお母さんが亡くなり早めに沖縄に帰ったと聞く。
初七日には自分でお経を上げたのだとか。
その件をA部老師にメールすると金曜日に京都呑みのお誘い。
23:18 河原町発の終電で帰宅。