2012/3/3 ヘタレはヘタれて泣いとれ!

 「お前もたいがい年やど…お互いこの先、失くしてばっかしじゃ!
  お前が言うちゃあた宝かて、どうせ一個ずつ消えて行く…

  人かて みな死んでいくんじゃ…
  ここにいちゃあったら、一人でそれに耐えていかなあかんねん。

  しんどいど…ほんなもん」


 「はっ ヘタレが!
  ほんなもんわからへんやろ?
  そもそもやな『失くす失くす』てなに失くすねん?
  …うちはなくさへん。 相手が死んだだけでなんもなくさへん。 

  …決めたもん勝ちや 」


 「何言うてんねん…」


 「ヘタレはヘタれて泣いとれ…うちは宝抱えて生きていくよって」

   

(ドラマでの設定は還暦ですが…)
    

 

3月3日、桃の節句の朝は『カーネーション』のオノマチ最終回で始まった。
いっしょに東京へ行こう、という北村のプロポーズを断るシーン。
二人は還暦を迎えようとしている。
「お互いこの先、失くしてばっかしじゃ。しんどいど、ほんなもん」
それとなく泣き落としをかける北村に糸子がせせら笑って言い放つ。
「はッ、ヘタレが!」


自分が言われてるようだった。
僕はプロポーズしてるわけじゃないが、糸子に頬をはたかれた。
何、めそめそしてんねん。
失くすもんなんてない。
何もなくさへん。
決めたもん勝ちや。
五十五になり、しょっちゅう弱気になって、後ろ向きになって自分が終わりだと決めつける。
そんなん決めたもん勝ちや!
ヘタレはヘタレて泣いとれ!
テレビの前で僕は目が点になってました。

 

今朝の尾野真千子の毅然とした演技は、ザ・バンド解散コンサートにおけるロビー・ロバートソンに似ている。
夜、スージー鈴木さんがTwitterと自身WEBサイトに書いていた。
「尾野糸子のラスト・ワルツ」http://homepage2.nifty.com/suzie/gogo.html#20120303


そうそう、マーティン・スコセッシの映画『ラスト・ワルツ』だ。
アンコールの拍手から始まる冒頭、ザ・バンドのメンバーがステージに戻ってくる。
ロビー・ロバートソンが客席に言う。
「You're still there ?(おい、まだいたのか?)」


いつまでもメソメソ名残惜しんでんじゃねえよ。
スージー氏が、日本語に訳すと「おい、ヘタレ!」 と返してくれた。
名訳です。


加えて、この方の解説で今日も二度美味しい。
http://tokyo-fukubukuro.blogspot.com/2012/03/blog-post_03.html

 

かねがね『カーネーション』の脚本、演出が秀でてると思ったことがある。
もちろん朝ドラという制約があってのことだろうけど、
戦場を描かずに戦争の愚劣さ残酷さを表現できていること。
好き嫌いはあるだろうけど余命半年を告げられた玉枝(浜田マリ)が言う。
 

  「おばちゃん、どないしたん?」夕方、病室でいつもの様子と違ったので糸子が尋ねた。  
  「…昨日、待ち合いのテレビ見てたら戦争のことやってたん…。
  勘助はよっぽどヒドい目に遭わされたと思てたんや。
  あの子はやられて、ほんであないになってしもたやて…」
  玉枝はゆっくりと息子勘助について語り始めた。
  「…けど、ちゃうかったんや…。あの子はやったんやな。あの子が…やったんや」
  それを聞いた糸子は涙を流し、玉枝はそっと糸子の頭を撫でた。
  夕暮れの病室にひぐらしの声が響いた。
  http://nhk-carnation.blogspot.com/2012/02/123228.html


若松孝二の『キャタピラー』を思い出した。
もちろん、これだけじゃなくて、生前の勘助の変わりよう、糸子への関係まで思いは及ぶ。
ある人がツイートしていた。


  「戦争」は善良な人間が死に際まで心安らかになれないほどの呪いだと痛感。
  原爆の後遺症に長年苦しんだ周防の奥さん。
  奥さんのことで苦しむ周防を好きになった糸子の苦しみ。
  せめて心安らかにと願う人の優しさを以てしても癒せない呪いだ。


…さ、ヘタレも頑張って走ろう。
僕が夙川公園コースと呼んでいるショートコースを走る。
寒さが緩み少し走ると汗ばむくらい。
iPhoneのアプリで距離を測ってみた。
自分で3キロとしていたコースは3.4キロあった。
これを30分で走るスロージョッグだ。
これ以上速く走る必要はない。
ヘタレだし。

 


御前浜の砂嘴を人が歩く。
この写真をいったい何枚撮ってるだろう。
いつかデジイチで撮りたいのだが、そういうときに限って砂嘴に人がいなかったり、
シャッターチャンスに恵まれない。
今日もコンパクトデジで撮影。
如月半ば、光る海を渡る。


砂嘴の対岸には冬鳥たちも日なたぼっこ。
そろそろ北帰行が始まる。


人は先端に立ちたい。
手前の砂浜を歩くのは初老の夫婦。


梅もかなり開花が進みました。
梅林を通過するといい香りが鼻をくすぐる。
この木の花は二輪ずつ咲く。
梅二輪 いっしょに咲いてよかったね。


梅の花は奥ゆかしくて集合体で撮るのは難しい。

 

…ウイークエンドデスク土日は働きましょう。
中継で女子ジャンプとサッカーのゼロックスカップを見る。
オリックスvs阪神のオープン戦は見ていて期待感がない。
女子ジャンプで歴史的快挙達成!
15歳の高梨沙羅ちゃんがワールドカップ初優勝。
表彰台で他の選手と並ぶ小さな彼女が100メートルも宙を飛ぶ。
これって凄いことなのだと思う。
傾斜がある山の上からとはいえ自分の力だけで100メートルですよ。
飛ぶというより落ちるって感じだけど、その方が凄いか。


彼女が2位で表彰台に登るニュース映像を見るたびに気になってたこと。
いつも美人の外国人選手がいっしょにいる。
笑顔がチャーミングだ。
気になる。
2位は女子ジャンプの女王サラ・ヘンドリクソン(米)、3位はグレスラー(独)。
アメリカのジャンプの選手って珍しいですね。
    
K輪住職から指摘があったのですが17歳の女王サラ・ヘンドリクソンと同じ名前なんですね。
英語でもSara.TakanashiとSarah Hendrickson
関係ないけどホール&オーツの名曲「サラ・スマイル」を思い出した。
サラ、笑って!
わあ、何だかこの曲なつかしいぞ。
   


…結局、関西発のニュースはボツ。
帰りに京橋の立ち食いうどん「なにわ」できざみ細うどんの夕ご飯。
紀伊国屋で『大坂人』のバックナンバー3冊とコミック『岳』15巻を購入。

『大坂人』は休刊となるそうです。
発行は大阪市の外郭団体、これって現施政と関係あるんでしょうか。