2012/5/27 立山連峰とケロリン

朝のラジオで聞いた話。
東京都内の銭湯に描かれた絵といえば富士山だった。
いま、銭湯の背景画(ペンキ絵)を描く絵師が老齢化、需要がないので後継者もいない。
銭湯そのものも老朽化し、建て替えても新たにペンキ絵を描くすべがない。
そこで富山市が動いた。
市が費用を負担し、銭湯に富山の立山連峰を描いて観光PRしようという狙い。
(描く絵師は探せばいたんでしょうね)
これが迫力満点で好評だという話だ。
http://toyama-brand.jp/?tid=102949


そもそも東京の銭湯経営者は富山、新潟の北陸出身者が多い。
関西でも石川出身者が大半を占めていると聞いたことがある。
ラグビーの取材で撮影協力してもらった東大阪の花園温泉も石川出身者だった。



富山のこういうPR作戦はかつて成功をおさめた実績があるのだとか。
それが黄色いケロリンの風呂桶だ。
頭痛薬ケロリンの製造元である内外薬品は薬売りの富山の企業。
風呂桶が木製から合成樹脂に変わるころ、富山人脈で都内の銭湯にケロリン桶を置いてもらったのだという。
東京オリンピックの時代の話。
http://www.naigai-ph.co.jp/special/kerorin/yurai.html

 

…富山の観光PRはかくの如く頑張っている。
逆に大観光地の奈良市は情けないやら腹が立つやら。
こんなニュースが朝刊に載った。


『奈良観光、誤訳だらけ…外国語HP一時閉鎖 〜自動翻訳システム、確認怠り〜』
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120526-OYO1T00431.htm?from=top


1言語で150万円だった翻訳の外部委託をやめて、全部で35万円のインターネットを利用した自動翻訳システムに変え、
固有名詞の読み方もあらかじめ登録していなかったことからミスが続出。確認作業も怠っていたという。
例えば英語では、東大寺の大仏を、姓の「大仏おさらぎ」と認識して「Mr.Osaragi」と翻訳。
「仏ほとけの慈悲」は「仏」を略語と解釈して「French mercy(フランスの慈悲)」とした。
「平城京へ都が遷うつされた」との部分は、訳せなかった「遷」の字が英文に混じっていた。
誤訳は「数え切れないほど」あり、観光ガイドらから「とても外国人に見せられない」との苦情を数十件受けた協会は23日にHPを閉鎖。
                                              (読売新聞 2012/5/26)

無能な担当者の顔が目に浮かぶようだ。
いろんな理由で、頭の悪いこういう輩が間違って担当者になってバカなアイデアを推進すると周りはたまったもんじゃない。
下請け構造が進み、誰も批判できない。失敗すると知りつつ誰も止められない。(普通はどっかで安全弁が働くんだろうけどね)
「現在、更新前のHPを公開中だが、担当者は『自動翻訳で内容を更新するには単語登録しなければならない言葉が多過ぎる』と頭を抱えている」
勝手に頭かかえてろ、と思う。
このニュースを目にして無性に腹が立ってしようがない。
他人事に思えないからだ。
いま、番組作りの現場でも同じようなことが起こっている。