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2009/5/27 阿蘇 仙酔峡と地獄温泉

    

今にも雨が降りそうな朝。
九州は午後から雨、山間部では雷をともなう強い雨となるでしょう。
雷注意報が九州全域に出ている。
テレビは絶望的な天気予報を告げる。
フェリーに乗った時の天気予報では数日は晴れか曇りだったのに…。
雨は覚悟していたし、一日くらいストームクルーザーを着て歩くのもいいな、と思っていた。
でも、雷は困る。
西宮でジョガーも落雷で亡くなってるし。
カミナリは僕らの登山にとって雷は最大の忌避事項だ。


朝食後、雨が降り出す。
ゆっくりしますか。


帰りのフェリーに乗る28日まで雨が続く予報。
また変わるかもしれないが
僕らが九州からいなくなると晴れマークが並んでいる。
スコット・フィッツフェラルドが『華麗なるギャツビー』の冒頭で書いている。
誰もが自分たちのように恵まれているのだとは思わないことだ、と。
かなり本来の意味とは違うけど、偉い作家がそう言うなら少しは慰めになる。


…10時にチェックアウト。
久住の牧ノ戸峠に向かう。
断続的に雨が強くなる。
牧ノ戸峠に到着、団体登山のパーティーがカラフルな雨着を着て集まっている。
雨を突いて登ろうというのだ。
「百名山を登る」というガイド付きのツアーなのだろう。
このくらいの雨なら登れないことないか、と思った瞬間、ゴロゴロゴロと雷鳴。
久住山断念。


牧ノ戸から瀬の本高原へ下りると集中豪雨。
大きな雨粒がアスファルトをたたく。
道の駅やパーキングエリアでも車から降りる気になれない。
やまなみハイウェイを南下する。


阿蘇の外輪山まで来ると小雨になる。
カルデラを望む展望所で休憩。
水田がカルデラいっぱいに広がっている。
あぜ道が幾何学模様を描く。
いいなあ。

  

…昼前に阿蘇の仙酔峡に到着。
ミヤマキリシマはつい一週間前に咲き終えた、という様子。
遅かったか。
でも、霧雨に煙る阿蘇の山々がいいじゃないですか。
切り立った尖峰(岩山)にガスが流れる。
中国の水墨画だ。
咲き残ったミヤマキリシマがわずかに色を添える。
いいじゃん、いいじゃんとヒロと互いに頷く。
小雨だし、ストームクルーザーを着て少し歩こう。


阿蘇最高峰の高岳に団体ツアー客が登っていく。
高岳山頂へ続く尾根にカラフルなパーティーがとりついている。
上りばかりの通称バカ尾根。
蟻の行列のようにゆっくりと登っていく。
前後にガイドつきの登山、雷は大丈夫なのだろうか。


バカ尾根の背後に鷲が峰が岩山が覆い被さるようにそびえる。
3人の登山者が下るところを望遠で撮影する。
レインウエアの色が赤青黄と信号なのが面白い。

  

ロープウェイに沿って遊歩道がある。
行けるところまで登ってみよう。
レトロなデザインのゴンドラ。
ロープウェイの骨董品でございます。

  


草木の生えないノーマンズランド。
阿蘇らしい火山地形を目と全身で味わう。
風が身体を揺らし、雨が皮膚を刺す。
この景観には荒天が似合う。
ロープウエイの火口駅まで行って下りはゴンドラで乗ろう。


火口東駅は強風に晒されていた。
トイレに行こうと駅に寄ると、強風で運転休止になるかも、と係員が言う。
今から出るのが最終になるかもとのこと。
あわててゴンドラに乗り込む。


…「織田瓜(おだか)」という茶屋で遅い昼食。
2時過ぎ、広い店内には僕ら以外に客がいない。
不安になったが、ざるうどん、肉そば、ともに美味しく当たりだった。


宿へ入る前に草千里あたりを偵察。
火口西駅周辺のミヤマキリシマが開花している。
遠くから見ても山がピンクに染まっている。
明日はこのあたりに来よう。


…今夜の宿は南阿蘇の『地獄温泉 清風荘』
山懐にひっそりとある秘湯の宿。
人気の温泉で湯治客や日帰り客で賑わう。
http://www.hikyou.jp/kumamoto/jigoku/seifuou.htm
http://jigoku-onsen.co.jp/


僕らは1泊2食で8550円の部屋。
明治に建てられた雰囲気のある木造建築。
六畳の和室には電気ごたつがある。
初夏の九州でこたつ…。
でも、十分にこたつが必要なほどの冷え込みだった。


宿には何カ所も風呂がある。
まず「元湯」に行く。
村の共同湯っぽい雰囲気。
木造の湯小屋で外気が入るのがいい。
湯は濁り湯でぬるめ。


ポスターにもなっている「すずめの湯」
内湯も露天もとにかく最高点でした。
外気の通る木造小屋、木の湯船、にごり湯でぬる湯。
僕の理想の湯のひとつでもある。
露天につかり阿蘇山麓の緑を感じる。
ゆっくりと浮き世とは別の時間が流れる。
雨はやまない。


夕食は『曲水庵』という土間のある大きな食事処で。
卓には炭火が熾きている。
串にさしたアマゴ、鴨肉、猪肉、うずら肉、里芋やたまねぎ、ピーマンなどの野菜を焼く。
にごり酒を飲みながら脂すたたる猪肉を食べる。
山賊になったような気分。
腹一杯になる。