2010/5/20 need は切ない表現

今朝のFMcocolo、オンした時に流れていたのは『白いページの中に』。
♪ なーがい ながい 坂道を いま のぼっていく
http://www.youtube.com/watch?v=W4jy0po0Q-k
柴田まゆみというシンガー&ソングライターの曲です。
ヤマハポプコン系の人でした。

 

   


朝に聞く曲といえば…以前に(2006年)、この日記でこんなことを書いた。


 80年代の名曲で「アメリカン・モーニング」という歌がある。
 原題は、Just when I needed you most (僕が君をもっとも必要とした時に…)。
 ランディ・ヴァンウォーマーという眼鏡をかけたシンガー&ソングライターの作。
 (この人は白血病で40代だったか、若くして亡くなったらしい)
 村上春樹がWEB日記「村上朝日堂ホームページ 村上の近況」でこの歌について書いている。
 このWEB日記は本になっていない。
 僕がせっせとダウンロードしてMacに保存しておいたもの。
 例の世界一のトートバッグの話もこの続編「村上ラヂオ」に書いてあった。
 歌の話だった。ちょっと引用する。

 

  関係ないけど、ソファに寝ころんでビールを飲みながら、
  ランディー・ヴァンウォーマーの"Just When I Needed You Most"、
  久しぶりに聴くと(もっとも新しいアコースティック・ヴァージョンだけど)
  師走だというのにしみじみしていていいですね。


  "You packed in the morning, I stared out the window,
                and I struggled for something to say..."
  「その朝、君は荷物を鞄に詰め、僕は窓の外を見ながら、うまい言葉を懸命にさがした…」


  その気持ちはわかるな。
  そういうときって、うまい言葉はまず出てこないんですよね。
  やっと出てきたと思ったら、実はまったく見当違いで、
  逆に火に油を注ぐような結果になったりしてね。
             (村上朝日堂ホームページ 村上の近況 '96年師走編より)


 「アメリカン・モーニング」ってこんな歌詞の歌だったのだ。
  
  


 当時、アメリカン何々っていうネーミングが売れたのだろうな、すごーくダサいのにね。
 でも、歌詞が描く 別れの予感、いや別れが決定づけられた朝の気分って分かる気がする。
 そんな時に限って 澄み切った青空で、空気が乾いて気持ちいい、美しい朝なのだ。
 グレン・キャンベルの名曲「恋はフェニックス」を思い出す。
 こっちは男が出ていってしまう歌だ。
 原題は“By the time I get to Phoenix”(僕がフェニックスに着く頃)
 もちろんフェニックスはアリゾナ・ダイアモンドバックスの本拠地、街の名前だ。
 「恋は不死鳥」by布施明 って意味じゃないよ。
 この歌の話も前に書いたかな?

 

  ぼくがフェニックス(アリゾナ州)に着くころ
  君は目覚め
  さよならの手紙を
  読むのだろう
  きっと君は笑うんだろうね
  それは前にもあったことだから


  ぼくがアルバカーキ(ニューメキシコ州)に着くころ、
  君は会社にいて
  ランチタイムにぼくに電話する
  でもぼくはいない
  電話のベルが鳴り続けるだけ


  ぼくがオクラホマ(オクラホマ州オクラホマシティでしょう)に着くころ
  君は眠っている
  そっと寝返りを打ち
  ぼくの名前を呼ぶかな
  そして泣くかも知れない
  ぼくの切ない思いを知ってね
  どれほど君を求めていたか
  君にはそれがわからなかったんだよ

       (“BY THE TIME I GET TO PHOENIX ” by Jim Webb 村上春樹訳)


  


 片岡義男の短編にあるようなシーンですね。
 男は深夜か早朝に西海岸から出発、グレイハウンドバスか自家用車で東へ向かっているのか。
 メロディーも含め大好きな歌だけど、こういう男ってどうなんだろ?って思う。
 性格的にちょっとひっかかるもんがある。
 まあ、みんなが小林旭のようにカッコよく旅立てないのだ。
 ランディ・ヴァンウォーマーの"Just When I Needed You Most"と
 この“By the time I get to Phoenix”とは旅立つ者と残される者の対になっている。

 


以上、2006年9月に書いた日記でした。
『アメリカン・モーニング』にも『恋はフェニックス』にも、“need”という単語が出てくる。
I love you ではなく、I need you。
一見、打算的に思えるが、それが過去形になって I needed you となると切実になる。
不憫で切ないのだ。
アン・マレーの『辛い別れ』も原題はシンプルに『You needed me 』だ。
出来るなら過去形でneedを使う心境にはなりたくないものだ。
シンプルなだけに辛い。


…体重73.50キロ。
やる気あるのか?
ライバルはゴール寸前だというのに。
最近、僕の体重が減る要因というのは決して意志的なものでなく副作用的なものばかり。
アメーバ腸炎のフラジールとう薬で2キロ弱落ちたがすぐに戻った。
73前後が今の安定体重だな。
若いときほど量は食べられないし深夜に食べたりもしない。
健康的に体重を落とす、というのは難しく、かなりインテリジェンスの要る作業なのかも。


ムシムシする空気、小雨の中、湾岸を30分ほど走る。


…夕方からナレーション録り。
編集に手直しが入り手間取るがナレーションは少なめで思ったより早く終了。
夜には雨も上がる。
梅田のブックファーストで文庫本を買う。
リニューアルオープンした「北サンボア」でハイボールを飲む。
酔っぱらいのグループ客が多くて閉口。
遅い時間は二次会的に使う人たちが多いのだね。
凛とした雰囲気を味わいたいならバーは口開けの時間に限る。
夕方5時台に飲む、というのはちょっとした贅沢ですね。