2011/5/16 上方演芸特選界@文楽劇場

国立文楽劇場へ行きました。
今日は文楽じゃなくて「上方演芸特選会」なる催し。
小ホール、前から4列目、上等席、文楽劇場友の会の割引で1600円、二人でも3200円。
浪曲を聴いたのは3年ぶり2度目、“ケイコ先生”春野恵子の迫力、幸枝若の名人芸に感服。


浪曲いいなあ。
わかりやすい語りと台詞と節回し、ぞくぞくっと来ますね。
僕はやっぱり大衆的な人間なのだと思う。


wikiに分かりやすい解説がある。
【浪曲】(浪花節)
浪曲は一話完結から連続ドラマのように長い話もある。
時間にするとだいたいは三十分位の話がほとんどである。
内容は一つの物語を節(ふし)と啖呵(たんか)で演じる。
節は歌う部分で物語の状況や登場人物の心情を歌詞にしており、
啖呵は登場人物を演じてセリフを話す。
浪曲を勉強する時は節よりも啖呵が難しいと言われ、「フシで三年タンカで五年」と言われている。


浪曲は「フシで三年タンカで五年」か。
文楽は「脚遣いで10年、左手で10年(20年)」と言う。
それに比べれば、と思うが浪曲も奥は深いだろうと思わせる。


浪曲と言えば三波春夫先生の『俵星玄蕃(たわらぼしげんば)』の名調子を思い出す。
雪をかきたて、さく、さく、さくさくさくさく、 「先生!」「おお、そばやかぁ!」
でおなじみの(?)、赤穂浪士ものですね。
歌謡浪曲の最高峰だと思います。
2分あたりの語り(啖呵)をご静聴下さい。
鳥肌必至です。


28日に「浪曲錬声会」なるものがある。
行ったろかな、なんて。
今に新世界の大衆演劇にも行きそうな勢いです。


今日、文楽劇場で聞いたのと同じ演目『播州皿屋敷』の動画発見!
ケイ子先生の迫力、ちょっとコワイでしょ。


浪曲界では村田英雄の方が格上だったが、歌謡界では三波春夫が先んじて人気者となった。
その両雄が新作浪曲『義士の本懐』で夢の共演、貴重な動画です。


浪曲といえば宮川左近ショーを思い出す。
♪まいど〜、の名調子。
昔の芸人は達者だったんだなあ。


関東の人には玉川カルテットでしょうか。


さて、上方演芸特選会。
客層はまるごと一昔前のヘルスセンターでした。
僕ら夫婦は明らかに若年層。
思えばつい数年前まで山へ行くと僕らは若手でした。
山小屋などで、いいなあお兄ちゃんらはまだまだいろんな山に登れるし、なんて言われた。
いまは山ガールや森ガールが増殖中だそうで。(まだ見たことはありませんが)


出し物順にひとことレビューを。


・落語 露の団姫   女性の若手落語家さん、たぶん20代後半くらいか。
           愛敬のあるルックス。
           映画『落語娘』で落語家を演じたミムラを思い出した。
           つゆのまるこ、と読むそうです。


・浪曲 春野恵子   電波少年のあのケイコ先生が浪曲師に弟子入りした
           というのはそれとなく知ってました。
           本気なのだなと思わせる熱演でした。語り(啖呵)の演じ分けがいい。
           唄(節)へ行く直前にかなり気合いが入ります。力み過ぎは若さの証拠か。


・奇術 キタノ大地  名前からして北海道出身なのだろうか。
           ものすごいオーソドックスなスカーフとリングの手品。
           箸休めとしては悪くないけど退屈でした。


・落語 笑福亭松枝  かなり年配の落語家、失礼ながら見たことがなかった。
           笑福亭一門だが、どこか枝雀の影響を受けているような雰囲気の落語。
           落語通のヒロは爆睡してました。僕はそこそこ面白かったけど…。


・七色三味線 虹友美 解説付きで三味線を弾いて聞かせるとうピン芸人、
           僕らと同年配のおばちゃん、アニメ声なのがご愛敬。
           河内音頭、津軽三味線の曲弾きとかベンチャーズとかを聞きました。


・漫才 シンデレラエキスプレス
           見たことない漫才、一応若手なのでしょう。
           これも僕はそれなりに面白く聞いてたのですが関西人のヒロは低評価。
           なんで笑ってんのか意味わからんわ、とのこと。


・浪曲 京山幸枝若  今回のメインイベンターです。実は二代目幸枝若を聞くのは2度目。
           ザ・上方芸人という空気を出している。独自の世界に引き込まれます。
           演目は「左甚五郎 京人形」名工 高山甚五郎と大久保彦左衛門の話。
           左甚五郎シリーズは幸枝若の十八番らしい。
           前回聞いたのも同じシリーズの「掛川の宿」だった。


You-Tubeに浪曲の動画がないので『浪花しぐれ』、語り(啖呵)もあります。


2年前の7月に初めて浪曲を聴いたときの日記。
思えばこのときはまだ歌舞伎も文楽も知らない52歳だった。
http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida/20090705/1246721661