読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

2013/4/22 すみたゆう !

季節が逆流してるって昨日の日記に書いたけどあれは間違いだ。
3歩進んで2歩下がる、行きつ戻りつして、確実に夏に向かって進んでいる。
大阪市内、大川べりのこんな緑を見ると、もう堂々と初夏なんだな、と思う。

  


…文楽四月公演@国立文楽劇場
新春公演以来の文楽劇場、住大夫さんの浄瑠璃を聴く。
NHKのテレビ収録があった。
席は前から5列目、センターよりやや左で見る。

   


   


正月は寿式三番叟の翁だったが今日は『新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)』野崎村の段の切りを語る。
盆がまわり住大夫さんが登場すると女性から声がかかる。
「まってました、すみたゆう!」
黒子が紹介する。
「とうざい、語りまするたゆう、たけもとすみたゆう」
満場の拍手の中、88歳の大夫がうやうやしく床本をかかげる。
これだけで来た価値があるというものだ。
声量は少し落ちた気がするが枯れた味わいで聴く者を物語に引き込む。
久松の父 久作のくどき、野崎村の老父の魂が人形に乗りうつったかのように自然だ。
人形を使うは吉田玉女も素晴らしい。
娘おみつを使うのは三世桐竹勘十郎、この仕草がいい。
ときに乙女の健気さといじらしさ、ときに凛とした女の覚悟。
語る住大夫、ダミ声なのにこれほどに艶っぽいのはなぜだ?
クライマックスは舟と駕籠でお染と久松が大坂へ帰るシーン。
手前に舟、奥に駕籠と立体感ある舞台。
ここで野崎という三味線2人による名曲が入る。
「さらば」「さらば」
さらばさらば も遠ざかる。
と締める太夫。
もう一度、女性の声。
すみたゆう!


     


『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』
有名な演目なのに歌舞伎でも文楽でも見たことがなかった。
伊達家のお家騒動の話で登場するのは女性と子どもだけ。
幼子がなぶり殺しにされるという凄い話だ。
なのに面白かったというのは何ですが、思いのほか面白かった。
ヒロは歌舞伎で見て泣いたそうだ。
つぶやきをいくつか。


・竹の間の段は7人の大夫で語る。末席に竹本亘大夫(わたるだゆう)がいた。
 2年前の1月に研修生発表会で素浄瑠璃を語った大浦渉くんだ。
 じゃがいものような風貌の青年、「元気にやってるか、がんばれよ!」と声をかけたくなる。
 

・舞台にこいぬが登場する。
 うちのてんと同じくらいの大きさなのだ。
 これがたまらなくカワイイ。
 犬種はチン、チンはこんな時代から飼われていたのか。


・悪役として梶原某の妻 栄御前が登場する。
 平安から鎌倉時代、悪いのは梶原、善いのは畠山ということらしい。


・八汐、悪いねえ。
 もともとの身分が低いというのが哀れではあるが。
 眼鏡堂氏によると仁左衛門の八汐が絶品であるらしい。


・ラストは床下の段。
 大ねずみが登場して立ち回りをする。
 歌舞伎でいう荒事。
 昼ドラのような物語のラストが特撮妖怪ものであるというのが面白い。


・クライマックスの政岡忠義の段、語るは豊竹呂勢大夫、三味線は鶴澤清治。
 呂勢大夫はいいですね。嶋大夫さんの弟子だそうです。
 芸歴20年でも若手、咲大夫、津駒大夫に次ぐエース級ではないか。
 源大夫さんの代役英大夫も良かった。


文楽、次は夏休み公演。
住大夫さんはレイトショーはないだろうから演目はおそらく『妹背山婦女庭訓 いもせやまおんなていきん』だろうな。


…昼は日本橋の「いずみカレー」でプレーンカレーを食べる。
有名なカレー屋さん、悪くはないがまた食べたいとは思わない。
夕方から局へ出る。
A木の編集を待つ間、A部老師と稲田、糀屋とはしごする。
途中から酒豪Nさんも合流、いつもの立ち吞み行脚。
局へ戻り30分ほど仮編集チェック。
また最終電車になってしまった。


深夜に帰宅、帰ったらうちの中が花だらけだった。
マンションが大規模修理でベランダに花を置けないのだ。