2010/3/24 ANA機長の名物アナウンス

昨日いっしょに飲んだスキップM氏は春休みに家族で鳥羽へ行くらしい。
春の鳥羽か、いいだろうなあ。
鳥羽と家族はよく似合う。
鳥羽と聞けば反射的に谷川俊太郎の詩を思い出すからだ。


 何ひとつ書く事はない
 私の肉体は陽にさらされている
 私の妻は美しい
 私の子供たちは健康だ


 本当の事を云おうか
 詩人のふりはしているが
 私は詩人ではない


 私は造られ
 そしてここに放置されている
 岩の間にほら太陽があんなに落ちて
 海はかえって昏い

            (谷川俊太郎『鳥羽1』より)

 

…今日も雨模様。
ケルトの笛奏者hataoさんのブログに機内アナウンスに感動した話が載っていた。
博多から大阪へ飛ぶANAの機内で自然発生的に拍手が起こったらしい。
ブログに紹介されているのはこんなアナウンス。


 「先ほど伊丹空港からの飛行では、金色の太陽に照らされた、
  花嫁の純白のドレスのような白雲、虹色に煌めく玄界灘を見て参りました。
  今晩の天候は晴れ、これから皆様に宝石をちりばめたような
  福岡の夜景をお楽しみ頂きます。
  気流の安定した航路を選びますが、天使のゆりかごの戯れか、
  途中揺れる場合もございます。
  しかし、優秀な私たちANA乗務員の指示に従って頂ければ、
  ご心配なさることはいっっっっっさいございません。
  どうぞ快適な空の旅を心行くまでお楽しみ下さい。... 」


ジェットストリームはJALのはずだが…。
これを読んで僕もはたと思い出した。
この機長のアナウンス、僕も聞いたことがあるぞ、と。
今はマイレージの関係でもっぱらJALに乗っているが以前はANAにも乗っていた。
この機長、確か英語でも凄いスピーチをするのではなかったか。
hataoさんは書いている。


 乗客にとって、この機長のお陰で印象深い旅行になったことは間違いない。
 一度も話したことのない僕でさえ、この人には何かしてあげたいという
 抗いがたい魅力を感じた。
 この人が機内販売を買ってくれと言えば、買っていたかもしれない。
 JALの機長が皆このような人であれば、あそこまでひどくはならなかったかもしれない。

            http://irishflute.info/2010/03/22/post_784.html


伊丹空港で機長は降りる乗客にコックピットから手を振り続け客も笑顔で応えたのだという。
そうなんですよね。
一人の人間の力って決して見くびれないと思う。
書店でも、居酒屋でも、高速バスでも、花屋でも、ケーキ屋でも、コンビニでも同じだ。
素晴らしい一人がいるだけで総ての印象が変わることってあるから。
当然ながら逆もある。
どんなに料理が美味しかろうが一人の人間のせいで二度と行きたくないと思わせることも。
hataoさんはこの機長のことをWEBで調べた。
山形キャプテン(機長)というらしい。
複数の人がブログで紹介している。
http://www.summit-rc.com/2008/12/2.html
離着陸もすごく上手いらしい。
ファンクラブもあるとか。


極めつけ名フレーズは
 「…揺れましても飛行にはまっっっっっっ・・・・ったく影響ございません。」
まるでカーリング解説の小林師匠の「ぷわぁ〜〜〜ふぇくと」みたいなのだ。

マニュアルじゃないのがいいだよな。
最後は一句詠むらしい。
全日空に乗り換えようかな、と思った。


…昼から神戸でヒロと映画二本立てを見る。
『私の中のあなた』『あの日、欲望の大地で』@パルシネマしんこうえん


『私の中のあなた』(ニック・カサヴェデス監督)
原題はMy Sister's Keeper
キャメロン・ディアスが母親役、アビゲイル・プレスリンが娘役。
思えばアビゲイル主演の映画を見るのは3作目になる。
難病もの、家族もの、臓器移植もの、そして、ちょっとショッキングな問題作。

  
  

 

家族の一人が重病に罹ってしまうと生活が一変する。
わたしのために家族が壊れた、と彼女は言う。
姉の命を救うため(輸血、移植他)に生まれた妹。
彼女が両親(特に母親)を訴える。
もう姉のためのドナーになりたくない、と。


クライマックス、不覚にも落涙。
彼女が誰のために訴訟を起こしたかがわかる。
最期の夜、余命いくばくもない姉が母親にいう一言でもうダメ。
泣こう!と思って鼻をすすりました。


  


ただ、ヒロは気に入らないところがあると言う。
もっと臓器移植が問題提起されると期待してたのに単なる難病ものになってしまった。
妹が自分の生まれた理由を知った時点で自殺するくらいのショックを受けるはずだと。
うーむ、そうかあ。

 


『あの日、欲望の大地で』(ギジェルモ・アリアガ監督)
原題はThe Burning Plain(燃える平原)
主演 シャーリーズ・セロン、キム・ベイシンガー。
久々に大好きなシャーリーズ・セロンを見た。
それだけでも嬉しかったけど作品としても見応え十分だった。
よく出来た映画です。
脚本家として成功した監督だけあって見事な物語の構成。
編集もカッコイイのだ。


 

冒頭近く、主人公のシャーリーズ・セロンが荒海に向かう断崖絶壁にひとり立つ。
(西海岸のポートランドらしい)
今にも飛び込みそうで恐ろしい、だが何も起こらない。
ストーリーが進むにしたがって、これが何を意味していたかが分かってくる。
印象に残った映像。


  


大場正明氏の解説が鋭い。
http://e-days.cc/cinema/column/oba/200909/28506.php


映画終わりはいつものように新開地『グリル一平』でオムライス。
ウエイトレス(たぶん中国人)の女の子の接客がやさしく気持ちいい。
店はアルバイトの女の子一人で全く違った印象になりますよね。


あ、2月に行った同じパルしん2本立ての感想をまだアップ出来ていない。