2015/3/13 沈丁花

何をきっかけで思い出したのかは忘れてしまった。
いや、思い出した!
図書館へむかう途中、その香りが鼻先をかすめたのだ。


   わたしは沈丁花が
   (藪のなかでも外でも)
   つよくにおって
   咲いているのをみつける
   この数秒がとても好きです。

                辻征夫  


そういえば、ミモザ(アカシア)やモクレンもそろそろ咲くころだ。
旧知の知り合いを思い出すように早春の花々が頭に浮かぶ。

   


昨日の京都飲みの疲労だろうか。
いつもより酒量が多かったのと寒気の中を自転車で走ったダメージ。
午後からぐったりして1時間ほどソファで横になる。
自由業であることがありがたいと思う。


朝は鶏の胸肉と丹波の黒豆の炊き込みご飯としじみの味噌汁。
西宮の阪急百貨店で買った美濃焼に映える。
こういうのは少なめに盛りつけるのが上品なんですよね。
   


夙川沿いの梅はほぼ満開。
青空と白梅を撮ろうとカメラを向けると鳥が鳴く。
のどを鈴が転がるような軽やかな鳴き声。
梅にうぐいす?
鮮やかなウグイス色の鳥が梅の蜜をついばんでいる。
メジロでした。
子どもの頃、近所に鳥かごにメジロを何羽も飼っている人がいたなあ。

   


夙川の桜並木のガードレールが鉄柵に変えられていた。
歩行者や自転車専用の遊歩道なのにガードレールは無粋だなあと常から思っていた。
でも、この鉄柵も無粋といえば無粋。
出来れば木製の柵か生け垣であったらいいのに。
もう2週間もすると桜がちらほら咲き始めるのか。
   


そうだ 沈丁花、行こう!
やってきたのは阪神香櫨園駅の北、夙川の土手の斜面です。
ここに5株か6株くらいの沈丁花がある。
秋の金木犀と並ぶ匂いの花。
あたりは早春の香りが漂っていました。
   

 


        
  そなたは 早春の花
  期せずして匂ひたつ 清楚の花
  日々の行路の そこかしこにぞ
  ほほゑみて うなづきて
  我が心に かそけく沈めり
  しかして ただそこに佇みて
  世のはかなさを 知るや否や
  白き炎をぞ 映しける


               宗方 玲

 


  淡き光立つ 俄雨
  いとし面影の沈丁花
  溢るる涙の蕾から
  ひとつ ひとつ香り始める


              松任谷由実


                

   

 

図書館へ本を返し、また借りる。
梅を見てメジロを聴き沈丁花を匂い大阪へ出る。
グランフロントの紀伊国屋で本を2刷購入。
「クートラスの思い出」「野武士のグルメ2」
図書カードも尽きた。


3日ぶりに出社するとデスクに本城雅人「球界消滅」と松井秀喜「エキストラ・イニングス――僕の野球論」が置かれていた。
もろもろのスケジュール調整、打合せをする。
不確定なことが多いのが仕事でもある。
不安な要素も多いが自分に出来ることと出来ないことがある。
要らぬ心配はしないこと。
今月から夏にかけてぽつぽつと仕事が入りそうだ。
起死回生の決定打とはならないが確実に出塁して次につなぎたい局面だ。
身体のコンディションを整えて自滅だけはせぬこと。


仕事探しに上京するという同年輩Y田を飲みに誘うもすでに帰宅していた。
セルジオを誘うも同じく帰宅したところだった。
京橋の「京屋」にでも行ってみよう。
金曜日の夜、京橋はどこも満席。
西宮まで帰り吉野家呑みでもするかと駅前の店へ行くと…吉吞み?

   


これが噂の…吉吞みですか。
17時〜22時限定らしい。
店員にとっては負担だろうな、なんて余計な心配しながら冷酒を飲む。
こっそりやっていたことをこんなふうにオフィシャルにされると天の邪鬼としては…面白くないんだよね。
草葉の陰で鬼六先生もそう思ってるに違いない。


明日はまた雨の予報。
春に三日の晴れは無し、です。