2004/2/14 春一番と12番目の天使

誕生日です。春一番が吹いた。

7時15分に起床、トイレで日刊スポーツを読む。

iMacを起動させてる間、読み始めた本、オグ・マンディーノ「12番目の天使」を読む。

昨日、ようやく「ジム・ロジャーズ世界を行く」を読了。

大金持ちの投資家が若い彼女とオートバイで世界を回るタフな旅の本。

読み始めてからたぶん10日以上かかる。

その前に「ジム・ロジャーズの世界大発見」を読み始めていたのもあるけど、

それにしても手こずる。でも、面白かった。

世界の見方もちょっと変わった。

国家統制主義の弊害、保護主義の弊害、これは世界の一面ではあるけれど歴史の証明でもある。

いろいろと示唆に富んだ本だった。

そのジムが10年後に改造した黄色いベンツで世界を回る旅を書いた本、

次の「世界大発見」が興味深い。楽しみである。

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…朝食後、昨日から読み始めた「12番目の天使」を読み終える。

解説によるとこんな物語…ジョン・ハーディングは、

家族を失って一度は捨てようとした命を親友に助けられ、

地域の少年野球チーム「エンジェルズ」の監督をつとめることになった。

 

ボーランドの町には4つの野球チームがあり、毎年チャンピオンを競って試合が行われる。

1チーム12人で、シーズン前にYankees、Cubs、Pirates、Angelsの

各監督たちによってメンバーが公平に決められる。

十二番目の天使というのは、

どの監督にも取られずに最後まで残った十二番目のエンジェルズの少年、ティモシー・ノーブル。

 

…ボールは取れない。ヒットも打てない。ティモシーはまったくチームのお荷物であった。

しかしジョンはその少年ティモシーが気になってしかたがない。息子にそっくりだったからだ。

ティモシーはへたくそなのに、逃げ出すことなく必死にプレーを続ける。

いつも精一杯走り、精一杯バットを振る。

いつしかティモシーの「うまくなりたい」「あきらめない」という純真無垢な気持ちが、

チーム全体の雰囲気を変えていく。

チームはひとつになり、ついには決勝戦まで突き進むことになる。

ジョンはティモシーとのふれあいで次第に生きる勇気を取り戻しつつあった。

でもそんなティモシーには絶対人に知られたくない秘密があった・・・。

 

…そんな物語。僕にとって一番、涙が出たシーンは

クライマックスや野球のシーンではなく、こんなシーンだった。

この小さな町のリトルリーグでは4つのチームの監督による少年達のドラフトが毎年行われる。

くじ引きで勝った監督から順に選手を指名していく。

1位から4位まで指名すると次は4位から逆に指名し、チーム戦力の均衡を図るというウェーバー制だ。

少年達はその選択会議には同席しない。

それぞれのチームは合計12名の選手を指名することになるが、

エンジェルスの監督、主人公のジョン・ハーディングは順番から最後に一人だけ残った

一番チビでへたくそな選手ティモシー・ノーブルを指名せざるを得なくなる。

その指名した日の夜にハーディング監督がティモシーに電話をかける。

電話口に出たのはティモシー本人だった。

 

…私が最後に電話を入れたのは、ティモシー・ノーブルの家だった。

電話に出たのは明らかにティモシーだった。

「ティモシー・ノーブルだね?」

「はい」

「エンジェルスの監督のジョン・ハーディングなんだけど、

君が今年、エンジェルスでプレーすることになったものだから、

それで電話したんだ。よろしく頼むよ」

「はい、分かりました」

「最初の練習は、来週の火曜日。

場所はリトルリーグパーク。午後の4時から。

 ちゃんと来れるね?」

「はい、もちろんです!必ず行きます!」

「練習は6時までなんだけど、送り迎えしてくれる人はいるのかい?」

「自転車がありますから。それで行きます」

「よし、わかった」

「あ、ハーディング監督、ちょっと聞いてもいいですか?」

「ああ、いいとも。なんだい?」

「エンジェルスには、他に誰がいるんですか?」

「トッド・スティーブンソン、ポール・テイラー、ジョン・キンブル、アンソニー・ズーロ…

 知ってる子たちかな?」

「はい。でも、すごいですね。みんな、すごくうまいんです!僕たちきっと強くなります!」

「君にも期待してるよ、ティモシー。ところで、お父さんはいる?少しお話したいんだけど」

ティモシーの弾んでいた声が、急に何オクターブも下がり、一本調子のかすれ声になった。

「パパはカリフォルニアにいるんです」

不意打ちを食らい、私は口ごもった。

「え?あ……あ、そうなんだ。それじゃ、お母さんと話せるかな?」

「ママはまだ帰って来ていません。仕事してるんです」

「そうなのか……分かった、ティモシー。それじゃ、火曜日に会おうな」

「はい。あ、それからハーディング監督?」

「なんだい?」

「僕を選んでくれて、ありがとうございます。一生懸命頑張ります」

「ああ、頼むよ。それじゃね」

私はゆっくりと受話器を戻した。  (オグ・マンディーノ「12番目の天使」より)

 

そうなのだ。この少年は監督が選んだわけでもない。

最後に残っていた「残りもの」だった。

にもかかわらず、ティモシーは卑屈にならず、悪びれず、実に素直に言う、

「僕を選んでくれて、ありがとうございます。一生懸命頑張ります」

これにはやられてしまった。

不意をつかれてしまった。

涙がにじんだ。僕はこういうのに弱い。

以前に読んだボブ・グリーンのコラム集「アメリカンビート」にあった

「あるバスの運転手」という胸打たれる話にも似ている。

 

…フレンテで恒例のアジア映画特集をしていて、

嫁が出したハガキが当たったのでパレスチナ映画の

「D.I.」を観に行く。これがまた最低の映画だった。

ストーリーも登場人物の背景もやってることの意味もわからない。

早く終わらないかと待つのみだった。時間の無駄でした。やれやれ。

ひょっとしてパレスチナ人はまともな映画ではもう真実は伝わらないと諦めているのだろうか?

 

おすすめ本「12番目の天使」です。